文化・生活

インド憲法の父、アンベードカルの語るカースト制度の本質とは?

佇む年配の男性

こんにちは!

以前、ヒンドゥー教についての記事を書きました。そのヒンドゥー教と深く結びついているのが有名なカースト制度です。

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カースト制度やヒンドゥー教についての本を読んでいる中で面白かったのは、インド憲法の父と言われているアンベードカル博士の書いた本でした。

今回は、その本のポイントをまとめる形でインドのカースト制度の本質についてまとめていこうと思います。

インド憲法の父、アンベードカルとは?

アンベードカルの肖像画

この似顔絵、インドを旅行したことがある人やインドに住んでいる人は見かけたことがあるのではないでしょうか?彼の名前は、ビームラーオ・ラームジー・アンベードカル。

インドの不可触民(現在では指定カースト(Scheduled Cast)と呼ばれる)の出身でありながら、当時のインド首相ネールに法務大臣として任命されインド憲法の草案を作成、インド憲法の父と呼ばれた人です。

アファーマティブ・アクションを憲法に折り込んだのもアンベードカルです。アファーマティブ・アクションとは、

不可触民とされたカーストや低カースト、弱小部族を指定して、大学入学枠や公務員採枠を留保して優先的に指定カースト、指定部族に割り当てるという制度

引用:インドのカースト制度

現在では、低カーストの人々を優遇しており逆差別ではないかとも言われている制度です。

アンベードカルはカースト制度に反対し不可触民の地位向上・差別撤廃につとめ無二の不可触民指導者となりましたが、途中で仏教に改修しておりその他多くの低カーストの人々も彼に習い仏教へ改宗しました。

カースト制度に反対し差別撤廃につとめた彼は、低カーストの人々から家に肖像画を飾るほど崇拝されています。私もインドに訪れた当初は、ガンディーくらいしか知らなかったのでこの人誰なんだろう…と思っていました。

また、私が通っていた地域ではすれ違う時にジャイ・ビームという挨拶もしていました。ジャイ=万歳という意味で、ビーム=アンベードカルの名前、ですね。それくらい、インドの低カースト層そして仏教徒にとって大きな存在がアンベードカルなのです。

カーストの本質とは?

結婚時に施されるヘナタトゥー

アンベードカルはその著書の中で、他の研究者たちが主張しているカースト制度の本質を否定しました。彼がカースト制度の本質として主張しているのは、排他的な同族結婚です。

インドに関わる人であれば、インドではお見合い結婚が今でも主流で同じカースト同士(厳密にはそうでもない場合もある)でないと結婚できないという話を聞いたことがあると思います。彼はそれが、カースト制度を維持させてきた本質だと言っています。

考えてみれば、もっともな主張ですよね。ブラフマンならブラフマン、クシャトリアならクシャトリアなど同族以外と交わらないようにしていればそれぞれの階級は保たれるのです。

アンベードカルは下記のように述べています。

インドにおけるカーストは同族結婚の習慣を通してお互いに混和することを阻む、固定してはっきりとした単位にインドの全住民を人工的に切り離すことを意味する。

引用:インドのカースト制度

カーストの本質を支える慣習とは?

しかし、同族婚を維持するために欠かせないことがあるとアンベードカルは言います。それが、同じ集団内の結婚可能な男女の数の均一化です。これを維持できなければ、人々は集団の外にその相手を見つけようとします。

ただこれが大きく崩れうる可能性があります。夫婦となった男女のどちらかが先に亡くなってしまい、再婚があり得る場合です。

実際どこまで妥当性があるかはわかりませんが、かつツッコミどころはありそうですがアンベードカルはそう主張しています。

夫婦のうちどちらか一方が先に亡くなってしまった場合には残された男性・もしくは女性の処遇をどうするかというのが大きな問題となります。カースト制度の維持に関わってくるからです。

アンベードカルは、その処遇として下記の3つの慣習が始まったのではないかと言います。

サティー

炎

サティーとは、ウィキペディアを参照すると以下のように説明できます。

ヒンドゥー社会における慣行で、寡婦が夫の亡骸とともに焼身自殺をすることである。日本語では「寡婦焚死」または「寡婦殉死」と訳されている。本来は「貞淑な女性」を意味する言葉であった。

引用:Wikipedia-サティー

夫が亡くなり、集団内で余剰となってしまった女性の処遇の一つとして考えられたのが、亡くなった夫の葬儀の火葬の時に一緒に焼いてしまうというサティーです。

ウィキペディアの説明にあるように、後に、このサティーの慣習は神聖化され自ら焼身自殺をすることが良いことであるとされました

寡婦

年配の女性

サティーが上手く行かなかった場合はどうするのか?再婚を許してしまうと結婚できる男女の数のバランスが保てなくなってしまうので、なんらかの事情によりサティーが叶わなかった女性は一生独身生活を強いられます

インドの特定の地域では、夫が亡くなった女性はそれとわかる服装を身につけていることもあります。また、インドの都市でもまだ見られる額のビンディーや頭の髪の生え際につけるシンドゥールも夫が存命中の女性のみつけられるものです。

こうして、インドではその女性が未亡人かどうかわかるようになっているようです。

少女婚

海岸に佇む少女

ここまで、男性が先に亡くなってしまったケースを見てきましたが、女性が先に亡くなってしまった場合はどうなるのでしょうか?

ヒンドゥー教社会において、男性ははるか昔から女性よりも優位な存在とされ、サティーで焼き殺したり一生独身生活を強制したりするのは難しかったのではないか、とアンベードカルは言います。

とは言え、カースト制度を維持するためには同じ集団の中での再婚もさせられないし、もちろん違う集団の女性との結婚もさせられない。

そこで、結婚適齢期に達していない女性との再婚を許すことにしたのではないかと言われています。つまり、少女との結婚です。現代のインドでも14才で結婚し子を身ごもる子もいます。

サティー、寡婦の強要、少女婚。これら3つの慣習によって、同族内の結婚可能な男女の数の均一化をはかったというのがアンベードカルの主張になります。

まとめ

全般的にはなるほどなあと思うことが多かった本でした。

カーストの本質は、閉鎖的な同族結婚にありそれを維持するための仕組みとしてサティー、寡婦、少女婚が行われたというのがアンベードカルの主張でした。

とは言っても、彼の主張はその起源としては正しそうではあるものの、それを確証付けるものはなさそうです。

この他の本もまだまだ読んで勉強せねば・・・といったところですね^^;

より詳細に知りたい方はぜひ本を買ってみてください。

それでは〜。