文化・生活

インドの宗教って?割合・特徴・分布【網羅的にまとめた】

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こんにちは、さいのです。

インドの宗教ってなんだっけ…?そんな方向けに今回の記事を作成しました。

インドの宗教というとよく知られているのはおそらくヒンドゥー教でしょうか。実は、隣国と陸続きのインドにはヒンドゥー教の他にも多様な宗教が存在します。

ここからは、インドにはどんな宗教が存在するのか、また国内におけるそれぞれの宗教人口の割合や分布、その特徴を紹介していきたいと思います。

インドの宗教と人口割合

さて、インドにはいくつかの宗教が存在することはわかったけど具体的に何があるのかを説明していきます。

今回は、説明のために2011年に行われた国勢調査の結果 を参照して円グラフを作成しました。「だいぶ古いな」と思ったんですが、英語で調べても出てくるのは2011年のものだったのでこれが最新だと思います。

インドにおける宗教の人口割合

見てみると、国民の約8割がヒンドゥー教徒ということになります。パーセンテージで言うとあまりイメージできないかもしれないのでインドの人口13億としてそれぞれ換算してみました。※概算です

  1. ヒンドゥー教徒…約10億人
  2. イスラム教徒…約1億7000万人
  3. キリスト教徒…約3000万人
  4. シク教徒…約2500万人
  5. 仏教徒…約1000万人
  6. ジャイナ教徒…約520万人

2位のイスラム教徒でも日本の人口を上回る約1億7000万人とは、すごい数ですね。

このように、インドではヒンドゥー教が最も信者の多い宗教でありネパールに次いで第2位のヒンドゥー大国ということになります。(参考:Hinduism by country

それでは、次にそれぞれの宗教の特徴や国内の人口分布を見てみましょう。

ヒンドゥー教【牛が神様】

ヒンドゥー教の神様シヴァ

概要と特徴

ヒンドゥー教(初期はバラモン教と呼ばれる)は、紀元前1500年に大陸北西よりアーリア人という人種が侵攻しインドを支配するようになって誕生しました。

支配者となったアーリア人たちは、元々インドの土地に住んでいたドラヴィダ人との混血を避けるためにカースト制度(ヴァルナ)を作り、自らはブラフマンという最高階級に属したと言われています。

そのカースト制度を維持するためとして、カーストを超えた婚姻を禁じたり、低いカーストに生まれたのは前世の行いが悪かったからだという輪廻転生という思想を信仰したとも言われます。

日本で馴染みの深い仏教は、実はインドの宗教ともつながりがあります。仏教はバラモン教に対抗したブッダが興したものなので、梵天や弁財天、吉祥天などはインドの神様たちが元になっているんです。

インドの神様というと、ヒンドゥー教は多神教で実に様々な神様がいます。その中でも重要なのがこの3人。宇宙を創造したブラフマー、世界が滅びそうになると化身となって世界を救うヴィシュヌ、そしてこの世の全てを破壊し消滅させるシヴァです。

また、神様シヴァの乗り物であったり、他の神様の従者であったりと牛は神格化されているため牛肉は食べません。近年ではリベラルな考えを持つ人も多く牛肉を食す人もいますが。

ヒンドゥー教については別途詳細な記事を御覧ください。

ヒンドゥー教の神様たち
インドの宗教ヒンドゥー教とは?【簡単に解説!】インド国民の約8割が信仰する宗教、ヒンドゥー教。インドに行くなら宗教のこともわかっておきたいですよね。今回は、そんなヒンドゥー教の始まりや神様、社会生活上の決まりやタブー、特徴、カースト制度などについて簡単にまとめましたので、ぜひ読んでみてください。...

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ヒンドゥー教徒の国内分布

引用:District-wise percentage of people who follow Hinduism in India

さすが国民の8割が信仰するだけあり地図上ではまんべんなく分布していますね。ジャンム・カシミール州やミゾラム州はヒンドゥー教徒の割合が少ないです。

イスラム教【豚肉は食べれない】

イスラム教の子供

概要と特徴

イスラム教は、7世紀にムハンマドが創始した宗教でありコーランを聖典とします。イスラム教はヒンドゥー教と違い唯一神であるアッラーを崇拝します

飲酒ができない、毎日礼拝をしないといけない、豚肉を食べてはいけない、特定の屠殺方法で処理された食べ物以外はタブーである(ハラール)など戒律の多いことはなんとなく知っていますが、イスラム教には5つの重要な義務があります。

  1. 信仰告白(シャハーダ)…「アッラーの他に神は無い。ムハンマドは神の使徒である。」と口に出して信仰すること。
  2. 礼拝(サラー)…一日5回は、メッカに向かって礼拝をすること。
  3. 喜捨(ザカート)…貧しい者へ施しをすること。
  4. 断食(サウム)…ラマダーンのことで、イスラム暦の9月の間日の出から日没まで飲食をしないこと。貧しいものの気持ちを知るためとも言われている。
  5. 巡礼(ハッジ)…可能であればイスラム暦の12月に聖地メッカへの巡礼をすること。

参考:イスラム教徒に課された五つの義務

インドには8世紀以降に侵入したアラビア人によって伝えられ、ムガル帝国時代はインドのほとんどの地域を支配するほどの勢力となりました。また、ヒンドゥー教のカーストの下に虐げられた人々は特に、神の名の下に平等なイスラム教に自ら改宗した人も多かったといいます。

昨今のカシミール地方の暴動もありヒンドゥー教とイスラム教というと対立しているイメージがあるかもしれませんが、かつて16世紀頃のムガル帝国時代には両者が融和して共存してきたという歴史もあります。観光スポットとしても有名なタージマハルはこのときにできたものです。

分布

イスラム教徒の国内における分布引用:Percentage of Muslims in each district in India (2011 census) [2043×2121]

地図上のインド北部の濃い緑の地域は、ジャンム・カシミール州でインドの中では唯一イスラム教が多数派の州となっています。しかし、この地域ではインドとパキスタンの間で領地を巡り度々紛争になっています。

キリスト教【ナザレのイエス】

キリスト教の十字架Photo by Aaron Burden on Unsplash

概要と特徴

水をぶどう酒に変えてしまうナザレのイエスをキリスト(救世主)として信じる宗教で、新約聖書・旧約聖書の聖書を聖典とし、神を信じることで救われると唱えます。

プロテスタントとカトリックの2種類がありますが、ややこしくて非クリスチャンの私には難しいです。笑

インドへのキリスト教の伝播は古いと伝えられていて、紀元52年に聖トマスという人がインドへ来てキリスト教を伝えたとされています。

その後、ヨーロッパで宗教改革が始まった16世紀になるとインド南部のゴアやケララを中心として低カーストの人々への布教が盛んになりました。日本でも有名なあのフランシスコ・ザビエルもその時にゴアに入国したとされています。

イスラム教しかり、カースト制度の元に虐げられていた人々は他の宗教へ改宗する人も多かったのですね。

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キリスト教徒の国内における分布図引用:Christianity in India

キリスト教徒は、宣教師のやってきたゴア、ケララ州を始めとした南部と、イギリス政府が布教に成功したインド東部に多く存在しています。

シク教【ターバン着用】

ターバンを巻いているシク教徒

概要と特徴

16世紀にパンジャブでグル・ナーナクという人が興した宗教です。16世紀というとヒンドゥー教とイスラム教の融和がはかられていた時代で、シク教はイスラム教とヒンドゥー教両方の影響を受けて成立しました。

絶対的真理として神を崇拝し、カースト制度や輪廻転生を否定、人間の平等を唱えています。シク教の最終目標は輪廻転生を繰り返した後に神と合一するムクティであり、日常では常に神の存在を頭に置き他人へ奉仕をすること、また自分の仕事に真摯に励むことに重きを置いています

著名なところでは、前インド首相のマンモハン・シンもシク教徒ですね。彼らは、髭や髪の毛を切らない掟を持っており、ターバンの中には長い髪が束ねられているはずです。

比較的裕福な層がシク教徒に帰依したということもあり、軍や官吏に登用されることが多かったそうです。確かに、今でも街中や公共交通機関で軍人を見ると、ターバンを巻いている人の割合が高い気もします。

シク教の聖地はアムリトサルで、総本山のゴールデンテンプル(ハリマンディル)は観光スポットとしても有名です。

参考:シク教

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シク教徒の国内分布引用:Sikhism in India

シク教徒は、インドの中でもパンジャブ州に集中して居住しておりその数はインド国内のシク教徒の4分の3と言われています。

仏教【インド発祥】

仏教徒たちPhoto by Iván Tejero on Unsplash

概要と特徴

日本人にも馴染みの深い仏教。実はインドは仏教発祥の地でもあるんですね。紀元前5世紀、現在のネパールに生まれたブッダ(ゴータマ・シッダールタ)が出家をし修行を重ねブッダガヤーで悟りを開き、それを弟子に伝えていったことが始まりです。

仏教発祥の地にも関わらず、インドでは仏教徒の数はわずか0.8%(約1000万人)とかなり少ないですよね。13世紀にイスラム教により仏教の拠点が破壊されてしまったことが原因でそのほとんどが滅んだという説もあります。

しかしその後、わずかながらに存在した弟子がそれを伝えていったり、またスリランカやチベット、日本から逆に仏教を取り入れる動きなどがあり仏教徒の数は回復したと言われています。

また、インドの仏教といえば、ヒンドゥー教のカースト制度に反対していたアンベードカルは、多くのダリット(不可触民)と呼ばれた人々を仏教に改宗させました。彼は、インド憲法の草案を作成したことでも知られています。

個人的には、手塚治虫のブッダを読むとより仏教に興味が湧いたのでおすすめです。

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仏教徒の国内における分布図引用:History of Buddhism in India

インド国内では、チベット仏教の影響を受けるヒマーチャル・プラデーシュ州やジャンム・カシミール州、シッキム州などで仏教徒の数が多くなっています。

ジャイナ教【非暴力の教え】

ジャイナ教徒の瞑想引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%A4%E3%83%8A%E6%95%99

概要と特徴

紀元前5〜6世紀に興ったジャイナ教は、バラモン教が浸透する世の中にあって、その制度に反対し仏教と時を同じくして興りました

マハーヴィーラというクシャトリア(王族)出身の人を祖師と仰いでいます。アヒンサー(非暴力)と無所有を厳守する苦行・禁欲的な宗教です。今日のジャイナ教徒がどれほど厳守をしているかはわかりませんが、極端な例を挙げてみましょう。

  • 空気中の小さな虫を殺さないよう白い布で口を覆う
  • 無所有を守るために全裸で生活する
  • アヒンサーを守るために断食する
  • 理想の死に方は断食をして死んでいくこと(ただし段階的な修行を終えたものに限られる)

また、アヒンサーに関しては身体的なものだけではなく、心理的・言語的なものも含んでおり心の中でさえ人に対して暴力的な気持ちにならないよう守ったといいます。

アヒンサーのために、完全なる菜食主義者であり生物や植物を傷つけてしまうとして農業や漁業をしている人はほとんどおらず、ジャイナ教徒のほとんどが商人としての才を発揮して生きているということです。

(参考:ジャイナ教-Wikipedia

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ジャイナ教徒の国内分布引用:Jainism in India

最初に見たとおり、ジャイナ教は人口にするとわずか520万人ほどでした。彼らのほとんどがインド西部に居住しています。ウィキペディア によると、南部には保守的な裸行派(無所有を守るために裸で生きる)がいるそうですが、このマップには載っていなそうですね…

ゾロアスター教【炎を礼拝】

ゾロアスター教の信仰する火

概要と特徴

2011年に行われた国勢調査の中では、「その他」の中に含まれる宗教ですがゾロアスター教は取り上げられることも多いので今回は載せてみました。

2018年に日本でも話題になった映画、ボヘミアン・ラプソディ。そこに出てくるクイーンのフレディ・マーキュリーの父親も、実はゾロアスター教徒です。

紀元前6世紀には既に存在していたと言われ、発祥は古代ペルシャ、その後10世紀頃に立場が弱くなってきたことから活動の中心をインドに移しました。

インドのグジャラートにたどり着き、インドではパールシー(ペルシャ人)と呼ばれています。彼らは、偶像崇拝をせず火を神聖なものとして祀るため、拝火教とも呼ばれます

また葬法も特徴的で、火は神聖なものなので遺体で汚してはいけないとして鳥葬(もしくは風葬)を行っています。ムンバイには、鳥葬用の施設である「沈黙の塔」が存在しています。

近親婚を良しとし、父親が信者の場合のみ入信することができる、女性は異教徒と結婚した場合信仰を捨てなければならないなど閉鎖的な宗教であることから人口は少ないく、インドは最大のゾロアスター教徒を擁するがその数は、約7万5000人と言われています。

(参考:ゾロアスター教 ゾロアスター教徒、純血性重んじ減少の一途 インドに全世界の半数 拝火教徒の「鳥葬」に変化 インド、ハゲワシ減少で

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2011年の国勢調査時には、その他に含まれる宗教のため分布図は見当たりませんでした。

上でお伝えしたように、グジャラートに移住してきたゾロアスター教徒でしたが、現在は活動の中心はムンバイになっており、ムンバイやプネー、グジャラートに寺院が存在します。

まとめ

さて、今回はインドにおける宗教についてまとめてきました。

ヒンドゥー教徒の占める割合が8割というヒンドゥー大国でありながら、いくつもの宗教が共存する多宗教の国ということがわかりました。

しかし、最近ではキリスト教迫害、イスラム教殺害、など宗教間の悲しいニュースが聞かれます。私個人としては、インドに関わる者としてさらに各宗教に対して理解を深めていきたいところです。

今まで読んだ宗教関連の本で面白かったものを載せておきます。興味がある方はぜひ。