文化・生活

【インド農村部】ラジャスタン砂漠地帯で雨水と暮らす

水壺と雨水と生きる人

こんにちは、さいの(@meranamerikohai)です。

インド農村部の暮らしを紹介するシリーズ!ふと思い立って始めていこうと思います。

今回は、私が大学院生の時に訪れたラジャスタン州にある農村部バルメール地方の水事情について。この地域の気候・地理的条件や水資源との付き合い方、問題について書いていきます。

バルメール地方ってどこにあるの?

村の位置私が今回紹介するバルメール地方の農村は、上の地図の「この辺」にあります。

さいの
さいの
バルメール地方と書いていますが、私が当時周っていたのは厳密にはバルメール地方と隣のシンダリ地方の2つの地域です。

首都デリーからは、列車で10時間でラジャスタン州の観光都市ジョードプルに到着。そこから車で3〜4時間ほど西に走るとバルメール地方に到着します。

バルメール地方の地理・気候はどんな?

バルメール地方の気候とラクダジョードプル以西のこの辺りは、タール砂漠という世界で17番目に大きい砂漠が広がります。(17番目微妙すぎた)それゆえ極度の乾燥地帯で、夏には46℃〜51℃にまで気温は上がり、冬には0℃まで下がります。

またそこから想像がつくようにこの地域は、年間降水量が平均277mmととても少ないです。と言っても277mmがどの程度かわからないと思うので参考程度に世界の他の都市の降水量を載せておくと、

  • 東京 → 1,529mm
  • 上海 → 1,157mm
  • 北京 → 534mm
  • サンフランシスコ → 517mm
  • カイロ → 35mm

となっています。それでもあまりよくわかりませんね笑。砂漠のあるカイロはさすがに降水量少ないですね。東京で1年に降る雨は、バルメール地方の5年分の雨に相当します。

絶対的な降水量が少なくさらに乾燥していて水分が蒸発しやすいこの地域では、干ばつや水不足が発生しやすいです。ただ、私が驚いたのは干ばつだけでなく洪水も発生するという事実です。

2006年、平均年間降水量が277mmのこの地域においてわずか7日間で723mmの雨が降り注ぎ洪水に見舞われるという出来事がありました。人々は高い砂丘に避難をしましたが、多くの村が被害を受け100人以上が亡くなったとされています。

バルメール地方と水資源

もともと過酷な気候条件で降雨量が少ない地域であるがゆえに、この地域の人々は雨水を大切に利用してきました。ここでは、人々がどのように水資源を確保しているのか紹介します。

この地域を訪れると目にするのは、各家庭や開けた場所にある貯水池や貯水タンクです。

貯水池・貯水タンク

コミュニティの貯水池時期や年によっても様相は違いますが、雨季の後にはこのような池が多く見られます。これは、ナディと呼ばれる雨水の貯水池です。

村やコミュニティごとに保有していることが多く生活用水に使用します。コミュニティという時、大抵はカーストで別れています。ここでは、女性たちが家から持ってきたタンクに水を汲んでいく姿を見れます。

上の写真のように、掘ったままの池もありますが下の写真のようにコンクリートで整備されたものもあります。この違いは、村の長がどれだけお金をとってこれるか等で変わってくるものかな?と予想。

コミュニティの貯水池

村人が言うには、コンクリートで整備したものの方が水が土に浸透していかないので水が長く持つと言っていました。また、ただ掘ったままの池はたまに人や家畜が落下して亡くなってしまうこともあり少なくとも柵は設けるべきだという議論がなされてました。

雨季以外に雨が降らず、乾燥して水が蒸発してしまいやすいこの地域ではいかに貯水池の水を長持ちさせるかも重です。

下の写真は、コミュニティ(この時は、ダリットの集まり)で保有している貯水タンクでこの建設費用はこの地域で活動しているNGOが負担しているとのことでした。

コミュニティの貯水タンク

立派な貯水タンクですね。地下ある程度の深さまで掘ってありそこに水を貯めます。下の写真は、ある家庭の敷地内に建設されていた貯水タンクです。これまた立派!

家庭の貯水タンクこちらもまた違う家庭に設置された貯水タンクです。

家庭の貯水タンクこの貯水タンク、周辺がコンクリートで広くならされているのは、より広範な範囲から雨水を集めてタンクの中に入れるためです。貯水タンクに向かって傾斜がかかっています。

このように立派な貯水タンクを持っている家庭もあれば、掘ってコンクリートで簡単に固めただけのものもあります。下の写真は、そのような簡易貯水タンクにゴミが入ったり家畜・子供が落ちたりしないように貯水タンクの上に枝で蓋をしてあります。

家庭の貯水池また、写真はありませんが、ただ掘っただけの貯水池の家もありました。この地域で色々な家庭を周りましたが、家庭の貯水池・貯水タンクを見ると経済的に余裕があるかどうかがなんとなく予想できるなあと思いました。

雨水を貯める貯水池・貯水タンク以外に、この地域では地下水や政府の供給する水も利用します。

手押しポンプ井戸

手押しポンプの井戸

この地域では地下水を組み上げる手押しポンプの井戸もよく見ました。私も体験しましたが、意外と重くて大変でした…!でも、トトロで見た世界…と嬉しくなりました。笑

ただ、この地域でも地下水の過剰汲み上げにより水が出なくなっている場所もありました。

政府の貯水タンク

公共水タンク

このような貯水タンク多分都市でも見ると思いますが、写真を撮っていなかったのでネットで探したものを…笑。

ここに政府が水を貯めてくれてその水を使えるはずなんですが、どうも地域によっては半年〜1年ほど供給されてないといった声や定期的に補充がされないといった声が多かったです。

給水車

給水車

この写真は、違うタイミングで撮った写真ですがこの地域の人々は給水車から水をゲットすることもあります。写真を撮ったこの場所はホテルなんですが、給水車の水タンクからホテルの水タンクにホースで水を入れているところです。

聞いた所によると1タンク当たり500ルピーするそうなんです。6人家族+ヤギ4頭の家族が、1ヶ月に3タンク必要って言ってたんですね。この家族構成は特別多いわけでもなく結構標準的だと思います。そうすると一月当たり1500ルピー。彼らの一ヶ月の収入が3500〜5000ルピーと言っていたので、水に対する支出の割合とても多いですよね。

このように、この地域の人々は様々な水源から水を確保しています。蛇口をひねればとめどなく水が出てくる日本とは大違いですよね。

水へのアクセス権が弱い人々

水が入った壺

この地域では、その年に降る雨の量と、その年の天候により水をどこから確保するかが変わってきます。雨に恵まれず干ばつがひどい時は、どうしても給水車から水を購入しなければなりませんがそれにもお金がかかります。

この地域で現金を持っていないということは水の確保に対しても脆弱であると感じました。私が村で雇用を作り収入源を増やしたいと思った理由の一つもこれです。

また、この地域ではいまだにカーストによる差別が残っています。さきほど紹介したコミュニティで保有している貯水池(ナディ)も、上位カーストの人々から順番に汲めることになっています。

また、こんな事情もあります。

同じカーストや同じコミュニティの中で所有している貯水タンクは、鍵がかけられそれ以外のカーストの人々が使えないようになっています。

私も実際に、鍵がかけられたタンクを見ました。

鍵のかかった貯水タンクそれほど、水はこの地域でとても貴重な資源なのです。

まとめ

以上、ラジャスタン州のバルメール地方の農村部での水資源についてまとめてきました。

水が慢性的に不足する地域だからこそ、雨水を溜める色々な工夫がなされていました。

政府は貯水タンクでさえ定期的な補充が行えませんし、一軒一軒が点在しているこの地域では水道の普及は中々難しいものと思われます。

お金があれば自分の家庭に雨水を最大限貯められる大きな貯水タンクをつくることもできます。お金があれば干ばつ時に給水車から水を購入することもできます。

どこでもそうですが、貧困層はとても脆弱です。

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